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第1回 博士コンサート



京都市立芸術大学大学院博士(後期)課程  Doctral Concert

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 中井章徳 博士コンサート

ピエトロ・マスカーニ

~復活祭をめぐるヘ調の響き~



 イタリアの作曲家、マスカーニ(1863-1945)の歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》は、ドラマチックな内容と音楽で「ヴェリズモオペラ」(写実的歌劇)と呼ばれ、彼の代表作であるとされています。


 現在ではオペラの作曲家と知られるマスカーニですが、音楽を志した少年時代から青年期までは教会音楽の作曲家であり、《カヴァレリア》を書き上げるまでの作風は教会音楽によって磨かれています。しかし、それらの作品のほとんどが未出版であるため、マスカーニの教会音楽はあまり知られることなく今日に至っています。その中にあって、1888 年に《カヴァレリア》と併行して作曲された《グローリア・ミサ》は「ヘ調による復活節の音楽」という重要な共通点を持っており、《カヴァレリア》におけるマスカーニの構想と意図、演奏上の問題点を考える上でとても重要な作品と言えます。

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↑《グローリア・ミサ》の初演が行われた聖アントニオ教会(チェリニョーラ)



 《グローリア・ミサ》は、正式には「テノールとバリトンの独唱と合唱、オーケストラによる《グローリア・ミサ ヘ長調》」といい、1888年、チェリニョーラの聖アントニオ教会でのミサのために作曲されました。書き始められたのは、生涯の伴侶となるリーナ・カルボニャーニとの結婚式を迎える5日前(2月7日)。3月28日に完成して翌月に復活節のミサとして、音楽院の学生の演奏で披露されました。全部で17曲から成り、演奏時間も約50分という大曲です。


 ヴォーカルスコアは市販されていますが、オーケストラ譜はレンタルのみの扱いで、日本での上演記録がないため、今回がオーケストラ演奏による『日本初演』となります



 同1888年7月、ソンツォーニョ楽譜出版社が主催する「第2回 一幕物オペラ・コンクール」の開催が公表され、マスカーニは直ちに応募を決意し、故郷の親友で台本作家のタルジョーニ=トッツェッティに相談します。彼の薦めにより、ジョヴァンニ・ヴェルガ(1840〜1922)の小説『カヴァレリア・ルスティカーナ』(1880)をもとにした同名の戯曲(1884)を題材とすることに決定されました。

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↑マスカーニ記念館に展示されている《カヴァレリア》の舞台衣装(チェリニョーラ)


 

  しかし、台本の最初の詩行が送られてきたのは、締め切りまで5ヶ月を切った1889年1月4日!


そのため、台本を必要としない器楽音楽から作曲され、1888年10月26日に先ず〈間奏曲 ヘ長調〉が完成しました。あの有名な「カヴァレリアの間奏曲」です。その後は送られてくる詩行ごとに曲を書き、なんとか締め切りに間に合わすことができ、1次予選、2次予選を通過しました。


 初演は、1890年5月17日にコンクールの最終審査を兼ねてローマ・コスタンツィ劇場で行われ、指揮は同歌劇場の指揮者であったレオポルド・ムニョーネ(1858-1941)、サントゥッツァ役とトゥリッドゥ役は、大ベテランのジェンマ・ベッリンチョーニ(1864-1950)、ロベルト・スターニョ(1836-1897)が務めて大成功を収め、作曲部門、台本部門ともに第一位を獲得しました。


 6月30日(日)の博士コンサート・研究では、歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》オリジナル稿の世界初演に向けて、《グローリア・ミサ》(日本初演)を演目に取り上げ、両作品に共通する「復活祭をめぐるヘ調の響き」を実演し、マスカーニのキリスト教カトリックへの信仰を原点に、「復活節のミサ」を基軸として作品の本質に迫ることを目ざします。


今回はサントゥッツァの〈ロマンスと情景〉、〈二重唱a~d〉、〈間奏曲〉と続く一連の場面を演奏いたします。


《ミサ》の後に発表された、《カヴァレリア》。

コンサートも、作曲された順番で演奏していきます。


《ミサ》で独唱を務めて頂く野津良佑さん(テノール)大谷圭介.さん(バリトン)が、《カヴァレリア》ではトゥリッドゥとアルフィオを兼任され、「オペラ的なミサと、オラトリオ的なオペラ」にアプローチします。サントゥッツァ役を得意とされている板波利加さんからは、現行版とオリジナル稿の違いについて、とても貴重なご意見をたくさんいただきました✨

ルチアの岸畑真由子さん、ローラは博士課程同期の松井るみさんが研究にご参加くださり、素晴らしいキャストチームで公演を迎えられることになりました。5役揃ってのオリジナル・ヴァージョン、どうぞお楽しみに。

 ※研究の事情により、一部出演者に変更が生じましたことお詫び申し上げます。


会場は京都市立芸術大学講堂。

基礎研究となる[日本初演][世界初演]、是非ご来聴ください。



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◉交通のご案内
・ JR京都駅から

C2のりばで京阪京都交通バス 2•14•28系統に乗車,芸大前(約45分)で下車。バス停から徒歩ですぐ。

・阪急桂駅から
桂駅東口:京阪京都交通バス1•2•13•14•25•28系統に乗車,芸大前(約20分)で下車。バス停から徒歩ですぐ。

・JR桂川駅、阪急洛西口駅から
京阪京都交通バス11A系統(京都成章高校前行き)に乗車,芸大前(約15分)で下車。バス停から徒歩ですぐ。

 アクセスについてはこちら
  → http://www.kcua.ac.jp/access/




by akitoku17 | 2019-06-29 11:47